抄録
「森になる」は、木を植え、自ら樹になり森となって、環境とこれから生まれてくる子どもたちを守る活動である。そして人生の終わりに、その森になり安らかに眠ることを目指すものである。すなわち、「私が木を植える」というのではなく、「私が木になり森になる」ことを意識させる構造を持つものといえる。この活動を通して、私たちが環境を守るという以前に、私たちが環境から守られて来たことを想起し、それに対して自らを与えることの喜びを喚起させる構造を持つものである。本発表は、このような「森になる」運動が、個人・世界双方の幸福を相反せず同時に実現する仕掛けとなることを説明する。また、その実践として、仏教的世界観に基づいた「森になるイメージ呼吸法」を紹介することも目的とする。