国際生命情報科学会誌
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研究発表
養生気功法の長期実施が心身の状態変化に及ぼす影響に関する研究: 内養功動功「易筋行気法」を中心として
伊藤 精英 木村 一世劉 錦程
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2017 年 35 巻 2 号 p. 118-

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抄録

養生気功とは、自らの呼吸に合わせてゆっくりした運動を行ったり、同じ姿勢を数十秒から数分間維持したりすることで、筋力や体力の強化をはじめ、精神や自律神経系のバランスを整えることができる身体技法である。本研究では養生気功の一つである内養功動功「易筋行気法」の実施に伴い、第一著者の筋骨格系、バランス感覚の変化を定量的に分析した。同時に、昨今、身体知研究で用いられている一人称研究の手法を用いて、「易筋行気法」の熟達に関わる身体の動かし方の気づき及び気の感覚の変遷について質的分析を行った。その結果、以下のようなことが示唆された。すなわち、(1)練功開始時に比べて2年後には身体の動きが流れるようになったこと、(2)脊椎の歪みが改善され正中軸と重力軸が合致してきたこと、(3)重心動揺量が減少したこと、(4)聴覚過敏(hyperacusis)、耳鳴(tinnitus)が緩和されたこと、(5)流れるような体の動きと呼吸パターンが関連していること、(6)時間感覚の喪失と気の感覚の増大が関連していること、などである。これらの結果を「易筋行気法」で重視される「意と気と力の合一」の観点から議論する。

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