国際生命情報科学会誌
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講演
皮膚と感覚、そして脳の機能
河野 貴美子
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2017 年 35 巻 2 号 p. 132-

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抄録

皮膚は一般的に「生体と環境とを分ける単なるバリア的存在で、内部を守るために各種環境変化を感知するセンサーを備えている組織である」程度に思われている。また、「皮膚と脳は発生学的に同じであるから、脳と関連深く・・」などともいわれるが、神経細胞と同じ外胚葉由来の組織は、厚み0.2mmほどの表皮のみで、その内側の真皮は中胚葉由来である。各種感覚の受容器はそのほとんどが真皮にあり、表皮にまで伸びているのは神経の自由端末のみである。実際に表皮は外界とのバリアとしての役目を果たしたら、角質となり、やがて剥がれ落ちて行くだけの組織なのであろうか。物理センサーでは捕えにくい「気」など微細情報の感知は真皮にある受容器なのだろうか? 表皮に秘められた能力を探りながら、感覚神経、自律神経などとともにヒトや動物における微細な感知機能について考えてみたい。

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