国際生命情報科学会誌
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研究発表
呼吸の外的制約がmeditative movementの所要時間、美的評価に及ぼす効果
伊藤 精英
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2019 年 37 巻 1 号 p. 76-

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抄録

瞑想的運動(meditative movement)とはヨガ、太極拳、健康気功など体の動きを伴う瞑想の総称である。これらの身体技法においては呼吸のコントロールが重要である。そこで本研究では、健康養生気功(内養功動功)の一つである「易筋行気法」を対象に、呼吸の制御と演舞の質的・量的評価との関係を、一人称研究アプローチにより検討した。2回の易筋行気法演舞の間に、異なる健康養生気功(太極気功十八式)を行った。太極気功十八式は吸気・呼気時間が定められており、演舞者は指示通りに呼吸することを求められる。この太極気功十八式の前後で所要時間、吸気時間、体の回転の程度、演舞の美的印象について前後の演舞を比較した。比較にあたっては動画記録及び学習者・指導者の言語記録を用いた。その結果、(1)演舞の所要時間を比較したところ、規則的呼吸(太極気功十八式)を行う前の演舞に比べ、後の演舞の方が所要時間が長くなった。(2)動画及び指導者の言語記録から規則的呼吸の後の方が演舞としての美的評価が高くなった。(3)学習者の言語記録から規則的呼吸の後の方が気の感覚が強くなった。これらのことから、呼吸の外的制約が瞑想的運動の質を向上させることが示唆された。

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