抄録
本研究は、2007年10月から現在(2020年9月)までの13年間、国際総合研究機構(International Research Institute: IRI) で継続して行われている。研究の目的は、ピラミッド型構造物(pyramidal structure: PS) の未知なる機能(いわゆる「ピラミッドパワー」)の科学的な解明である。本研究迄、PSの未知なる機能に関して、統計的に有意な結果を得たという報告はほとんど無かった。我々は実験のため、被験者が中に入ることが可能なPSを作製した。また、PSの未知なる機能を検出するため、食用キュウリ切片(Cucumis sativus'white spine type') をバイオセンサとして使用した。バイオセンサはPS頂点に置かれ、放出されたガス濃度を解析することによって、PS頂点付近のピラミッド効果の検出実験が行なわれた。ピラミッド効果の検出実験に関しては、実験条件が異なる2種類の実験が行われた。それは、(i) PSに対して、被験者による何らかの影響が考えられる状態で行われた実験、(ii) PSに対して、被験者による影響が除外された状態で行われた実験、の2種類であった。また条件(i) の実験は、PSに対する被験者による影響が、3タイプあると考えられた。それは、(i-1) PSから6 km以上離れた被験者の無意識(フォースタイプI)がPSに影響している場合、(i-2) PS内部で瞑想中の被験者の状態(フォースタイプII)がPSに影響している場合、(i-3) PS内部で瞑想した被験者が居なくなった後、フォースタイプIIに対するPSの反応が継続している場合、の3タイプであった。条件(ii) の実験は、少なくとも20日間以上、被験者がPS内部に入らなかった状況で行なわれた。(i-1), (i-3) 及び(ii) の結果から、PSの未知なる機能(「ピラミッドパワー」)の存在が、高い統計精度で実証された。(i-1) の結果からは、6 km以上離れた被験者の睡眠状態から覚醒状態までの、無意識の変化に対応したと考えられるピラミッド効果が検出された(1%有意)。(i-3) の結果からは、瞑想後十数日間にわたり、遅延を伴ったピラミッド効果が発見された(p=3.5×10-6;ウェルチの両側t検定、これ以降のp値も同様)。この遅延を伴ったピラミッド効果は、過渡応答現象のモデルから計算された理論曲線によって非常に良く近似できた。これに対して、(i-2) の結果からは、これまでのところピラミッド効果が有意に検出されなかった。しかし今後、データ数が増えることによってPS内部で被験者が瞑想中のピラミッド効果が検出される可能性が十分に考えられる。(ii) の結果からは、PSが潜在的に持っている力(パワー)によるピラミッド効果が検出(p=6.0×10-3) された。さらに、PS頂点に2段に重ねて置かれたバイオセンサの、上段と下段に対する潜在的なピラミッド効果が異なり、下段に比べて上段のバイオセンサに対するピラミッド効果が大きくなることが明らかとなった(p=4.0×10-7)。厳密な科学的な実験と解析によって得られたこれまでの結果は、いわゆる「ピラミッドパワー」の存在を実証した世界最初の研究成果である。この成果が科学の新しい一分野を切り開き、幅広い応用分野の発展に寄与することが期待される。