抄録
事業者は,運転者の業務遂行にあたって,心身の健康を管理する義務を負っている。したがって,タクシー運転手が健康起因事故を起こした場合,運転者だけでなく,事業者も刑事・民事・行政の3方面から法的責任を問われる可能性がある。具体的には,刑事責任として罰金や懲役刑,民事責任として損害賠償金の支払い,行政責任として輸送施設の使用停止などの処分である。そして,事業者の社会的信用を落とし,経済的損失が発生することになる。近年,運輸局と労働基準監督署との連携が強化された。また,交通死傷事故に対する世論の関心は高く,責任を厳しく追求される例が増えるかもしれない。事故防止のために,事業者は運転者の適切な健康管理に改めて配慮すべきだと思われる。(表1,図1)