本研究は,足こぎ車いすの利用が高齢者の歩行能力低下抑制につながるかを検証したものである。調査は,車いすの初期利用者で,杖などを使用すれば自力歩行可能な高齢者(主に介護度1,2の軽度要介護者)を対象に,6週間にわたって実施した。その結果,通常のリハビリに加えて,継続的に足こぎ車いす運動を行った群(介入群)は,通常のリハビリのみを行った群(対照群)に比べ,歩行時間が短縮する傾向が示された。足こぎ車いすの利用効果は4週以降現れ始め,6週時点で,介入群の歩行時間は,対照群に比べ有意に短くなった。足こぎ車いす運動を,通常のリハビリに付加することは,歩行能力の低下抑制のみならず歩行能力の改善に一定の効果が見込める可能性が示唆された。(図5,表1)