母子世帯の貧困原因に関する情報を得るために,母子世帯の貧困率の推定とその要因分析を行う実証研究を試みた。まず,住宅・土地統計調査の所得階級別世帯数の公開データを用いて都道府県別の母子世帯の貧困率を推定し,貧困の地域格差を検証した。次に,母子世帯の貧困の決定要因を探るために,都道府県別の貧困率を目的変数とし,それと何らかの関連が想定される母親の就労など30種の説明変数を用いた非線形回帰分析を実施した。その結果,貧困率の決定要因として,母親の生産工程職,専門・技術職,販売職,サービス職への就業率,臨時雇率,高卒率,幼児世帯率の7種が求まり,これらの要因が母子世帯の貧困率に影響しているという新たな知見を得た。(図3 表6)