2014 年 7 巻 p. 117-133
本稿では、日本の難民受け入れの論理を包摂と排除の観点から批判的に検討し、従来の難民の受け入れに対して難民との〈共在〉という視点を提示する。日本の難民受け入れは、1970年代末のインドシナ難民の受け入れからはじまったが、一貫して日本政府は難民の受け入れには消極的である。難民の受け入れは、庇護を求める難民の都合よりも国家の都合が優先されるからである。難民の排除には、難民不認定という明確な排除もあれば、支援供与などの包摂の試みがかえって疎外を招く「意図せざる排除」もあり、本稿は後者に着目する。本稿では、難民をめぐる包摂と排除の位相を踏まえて、従来の共生論と難民を受け入れるという標語を批判し、〈共在〉への移行を主張する。受け入れるという姿勢は、自文化中心主義と難民を本質化する態度を助長する。それに対して〈共在〉は、すでにグローバル時代の包摂社会のあり方を考察するための試金石となる。