2010 年 10 巻 p. 107-121
障害学生に対する大学の修学支援が制度化されていく中で、ボランティアはどのような役割を担うことができるのだろうか。本報告では、プール学院大学の実践を通してその問題について考察する。 プール学院大学では、2002年に全身性障害者が入学したことを機に、障害学生の支援に取り組んできた。その成果として、大学がアルバイトとして雇用する学習支援学生補助員が学習支援を担っている。しかし、身体障害学生に対する生活支援では、ボランティアの役割が大きくなる。 他方、発達障害学生の場合、必要な支援は主にソーシャルスキルトレーニングである。発達障害は外から見えにくい障害であり、学生本人の自己受容も様々である。周りが困っているほどには本人は困っていないことも多々ある。身体障害の場合と異なり、制度化された支援を学生が利用するという枠組に馴染みにくいところがある。 障害種別によって違いはあるが、障害学生支援がどのように制度化されたとしても、一人ひとりの学生に対する個別の支援は、その学生の特性や支援ニーズに応じて個別に組んでいかなければならない。障害学生支援それ自体、ボランタリーな対応を必要とする営みだと言えるだろう。