ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
「活私開公型」ボランティアを目指して
公共哲学の観点から
三竹 眞知子
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 10 巻 p. 81-105

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抄録

人々の価値観や意識が大きく変化し、地域における人間の絆が希薄化している昨今、相互扶助による共生社会の形成が望まれている。それは、多様で異質な人々が、人間として尊厳を認め存在を承認しあう社会であり、その下支えをするボランティアは、新しい公共の担い手として期待されている。  そこで、本論では、まず、公共哲学、および、個を活かして公共性を開くという「活私開公」概念とボランティアの特性を検討した。次に、「人間と社会の関わり方」に基づくライフスタイルの特徴をボランティア論に援用して、ボランティアの行動スタイルを類型化し、公共哲学の観点から特徴と事例を示し、それらの中から、理想的な「活私開公型」ボランティアの行動スタイルを提示した。そして、「望ましいボランティア・リーダー像」に関する調査票調査の結果を分析して、リーダー像を類型化し、それぞれの特性を比較検討した。  「活私開公型」ボランティアは、公共哲学の観点から、理念および現場から望まれるボランティアの行動モデルとその特性により、「公共性に配慮し、多様性と異質性をもつ他者との尊厳ある対等な関係を保つ市民的徳性を身につけている」人間像であることが、本研究で明らかになった。このモデルを提示することは、ボランティアの質の向上と実践現場の活性化に貢献するであろう。

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2010 国際ボランティア学会
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