ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
世界からの共感と連帯
国境を越える出会いと学び
中村 安秀
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2012 年 12 巻 p. 3-13

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抄録

 東日本大震災は、高齢化社会を直撃した自然災害であった。緊急時から復興に至るまで、被災した地元の人たちが中心になって被災現場で活動を行っていた。また、国内外から多くのボランティアや関係団体が駆けつけ、よそ者と地元の方との間で多くの協働の物語が生まれていた。インド洋地震津波支援においては、ビルド・バック・ベターの思想が提唱された。災害前にすでに存在していた社会の脆弱性や不公平さに慎重に対処しながら、被災地に外部から駆けつけた支援者とともに、新しい社会を創造していくことの意義が強調されていた。東日本大震災において、海外から多くの支援が寄せられた。人と人がつながり、国と国がつながるグローバル世界においては、国際的な緊急支援を行うこともあり、ときには緊急支援を受ける側に回ることもある。世界から支援を受けた東日本大震災の貴重な経験を契機に、共感と連帯への感謝の気持ちを活かした、双方向のベクトルをもった新しい国際協力のあり方が確立することを期待したい。

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2012 国際ボランティア学会
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