ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
持続可能な開発目標(SDGs)とボランティア
ポスト・コロナ社会を見据えて
中村 安秀
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 p. 3-10

詳細
抄録

 私たちは、いつか新興感染症が世界を席巻するときがくることを予測していたはずなのに、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」で掲げられた169のターゲットのなかに、新興感染症の脅威に対する記述は一切なかった。SDGsが採択された2015年は、世界が格差と対峙した転換期であり、SDGsは世界を変革するツールであることが強調されていた。タイでは、住民と保健医療専門家と行政をつなぐ保健ボランティアという存在を平時から育成し、COVID-19の緊急時にも活用した。保健ボランティアは、ポスト・コロナ時代のプライマリヘルスケアを担う主役のひとりである。いまこそ長年にわたって培ってきた国際ボランティアの経験と知恵の出番である。世界各国の取り組みから謙虚に学びながら、成功体験は惜しみなく共有し、失敗を糧にして同じ轍を踏まないように注意しあう。専門分野や国境を越え、市民や研究者が混然一体となった学びの場が必要である。

著者関連情報
2021 国際ボランティア学会
次の記事
feedback
Top