ボランティア学研究
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21 巻
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  • ポスト・コロナ社会を見据えて
    中村 安秀
    2021 年 21 巻 p. 3-10
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     私たちは、いつか新興感染症が世界を席巻するときがくることを予測していたはずなのに、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」で掲げられた169のターゲットのなかに、新興感染症の脅威に対する記述は一切なかった。SDGsが採択された2015年は、世界が格差と対峙した転換期であり、SDGsは世界を変革するツールであることが強調されていた。タイでは、住民と保健医療専門家と行政をつなぐ保健ボランティアという存在を平時から育成し、COVID-19の緊急時にも活用した。保健ボランティアは、ポスト・コロナ時代のプライマリヘルスケアを担う主役のひとりである。いまこそ長年にわたって培ってきた国際ボランティアの経験と知恵の出番である。世界各国の取り組みから謙虚に学びながら、成功体験は惜しみなく共有し、失敗を糧にして同じ轍を踏まないように注意しあう。専門分野や国境を越え、市民や研究者が混然一体となった学びの場が必要である。
  • 沖縄のNGOにみるSDGsとボランティアの推進について
    玉城 直美
    2021 年 21 巻 p. 11-18
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     SDGsは2015年9月の国連総会で正式に採択された。2016年から2030年の新たな国際目標となった 持続可能な開発目標(SDGs) は、日本全国各地でキャンペーンが行われている。筆者の在住地域の沖縄県は、2019年よりSDGsの達成に向け、県施策の総合的な推進を図るため「沖縄県SDGs推進本部」を設置し、積極的に取り組んでいる。  本研究は、MDGsからSDGsへのキャンペーンの移行の中で、ボランティアへの啓発活動、参加の仕組みづくりを行ってきた沖縄県内のNGO活動とボランティアの関係性について調査した。SDGs推進にあたってボランティアの存在の重要性、参加の場づくりと、育成等について研究をまとめた。
  • 沖縄で国際協力とSDGsを学ぶ
    堀之内 裕一
    2021 年 21 巻 p. 19-25
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     名桜大学国際ボランティア研究会は、国際ボランティアに関心を持つ学生が、沖縄の国際色を活かしつつ国際ボランティアを経験、学習する大学サークルで、39名で構成されている(2020年6月)。その活動は、沖縄県内の国際協力に関連するNPO等に対して、諸活動に関するインタビューを実施するだけでなく、海外でのプロジェクトを運営するための研修を受ける機会やSDGsの実践について学ぶ機会を通じて、国際協力活動の実務について学んでいる。それらの経験を、学内をはじめ国際ボランティア学会等でプレゼンテーションをすることによって、国際ボランティアの専門家をはじめ、興味のある学生などとの人的ネットワークを広げている。2020年の国際ボランティア学会にて本研究会の活動、学習の一部を紹介した。現在、COVID-19により海外あるいは県外での活動が難しい状況下で、本大学サークルの活動をどのように展開していくかを模索している。
  • 小型焼却炉チリメーサーによる地球環境改善への取組
    福富 健仁
    2021 年 21 巻 p. 27-31
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     海洋プラスチックごみ問題だけでなく、コロナウイルスなどの感染性医療廃棄物による二次感染、中国の廃棄物輸入規制による廃棄物の問題などごみ問題は多く存在している。トマス技術研究所は小型焼却炉チリメーサーにより現代のごみ問題の解決、そして今後さらに深刻化するごみ問題解決を使命とする企業である。トマス技術研究所の使命は「技術を通した環境改善による社会貢献」である。使命感を持って仕事にあたること(=Beruf(べルーフ)を持つこと:以下ベルーフ)が大切であると考える。これが結果として、沖縄発国際協力、SDGsに繋がると考える。トマス技術研究所は、SDGs17項目の8、9、11、13の4項目に該当する企業である。また、G20大阪サミットで政府広報展示スペースにて、JICA採択企業のべストプラクティスとして、インドネシアの病院に小型焼却炉チリメーサー設置が紹介された。沖縄の離島自治体にはチリメーサーが導入されており、多くが漂着ごみ焼却に使用されている。市町村保有のチリメーサーで焼却できるため、ビーチクリーン活動を促進させている。海外でも、チリメーサーが離島や発展途上国でのごみ問題を解決すると認知され、チリメーサーを使用しごみ問題の解決を図ろうとする国が増え始めた。チリメーサーによる環境改善取組で、国民、国の意識を変える事ができると考える。今後、チリメーサーが環境問題やごみ問題解決に役立ち、環境問題解決のためのボランティア活動の推進へと繋がるように、地球環境や命に優しい製品の開発、そしてベルーフを持ち日々の業務に励み続けたい。
  • コロナ禍における移民・難民のボランティア活動から
    宗田 勝也
    2021 年 21 巻 p. 33-38
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿は、東京都新宿区で活動するミャンマー少数民族による自助団体のボランタリーな活動について、新型コロナウィルス感染症の拡大前/後の変容を報告するものである。日本で暮らすミャンマーの人たちが支え合うとともに、日本社会に貢献できる人材を輩出したいという思いから始まった活動は、2012年度の自助団体設立以来、一貫して「教育」を柱としてきた。ミャンマー難民、コミュニティの成人に向けた日本語教育事業と、ミャンマー難民、コミュニティの子どもたちに向けた母語教育事業である。それが新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、コミュニティ内において生活の危機に直面する人々が続出したことを受け、公益財団法人の資金援助を得て、緊急生活支援事業に取り組むこととなった。それは仕事を失い、家を失った人たちの命を守る取り組みとなった。感染症拡大を背景に物資の調達も困難な中、自助団体の人たちが優先した「最も困難な立場に置かれた人へ支援を届ける」という思いは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の精神を具現化したものとも言える。活動の中に見出した、「誰一人取り残さない」社会実現の困難と可能性を報告する。
  • 「オンラインまちの赤ちゃん保健室」の事例から
    城間 美貴
    2021 年 21 巻 p. 39-44
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     新型コロナウイルス感染症拡大にともなう2020年4月の緊急事態宣言を受けて外出自粛が余儀なくされている中、母子の孤立が問題視されている。厚労省の調査によると1~3月の児童相談所で虐待として対応した件数は、いずれも前年同月比で1~2割増加している。新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛状況で孤立し、不安を抱えている母親やその家族に対する持続的なサポートを検討し、LINEをはじめとするSNSを使用したオンライン上での遠隔サポート「オンラインまちの赤ちゃん保健室」を4月8日から9月30日まで実施した。本事業により、参加ボランティアの本業にも繋がる取り組みであることから活動へのモチベーションの維持にもなり、今後、第二波が発生した場合にも継続可能な新しい支援の形を見出すことができた。相談対応では、LINEを使用することで、対面では相談しにくいという相談者のハードルを下げることにも繋がった。日常的に利用されているLINEを用いる方法は相談者だけでなく、ボランティア側も操作しやすく、継続的な支援が可能になった。また、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すSDGsの達成にも繋がり、社会に取り残されていて声を上げることができていない相談者の、個別性に応じた支援を検討することができていると考える。直接対面式でないことから緊張感が少ない状態となり、相談者のストレスも軽減することが可能であり、夜間に相談できる場所を提供できたことは、不安が強くなる時間帯において、少しでも安心できる要素になったと思われる。本事業を継続することで、行政だけでは限界があると考えられる母親やその家族への支援も、地域に根付き各分野で活動している団体と連携し、地域の人々に寄り添い、必要な社会資源へ繋ぐ環境をつくることが可能になると考えられる。
  • バングラデシュ南西沿岸部における村民と開発援助の認識や実践の違い
    山田 翔太
    2021 年 21 巻 p. 47-60
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は、村民による飲料水源の維持管理・利用方法の実践と、給水施設の設置機関が求める給水施設の維持管理・利用方法がどのように異なるのかを、バングラデシュ南西沿岸部での現地調査から解明することを目的とした。これは、対象地域の固有要因が見落とされることにより、給水施設の機能不全や放棄が生じていると考えられるためである。現地調査の結果、調査地での飲料水に関する固有要因として飲料水源である池の単一世帯による維持管理と多目的利用が導出された。しかし、給水施設の設置機関は水源である池を飲料水の獲得(単一目的)のみに利用し、複数世帯(管理委員会)による維持管理を望んでいた。このような相違が生じる背景としては、村民と給水施設の設置機関の間で、水資源の所有権と希少性に関する認識という点で齟齬が生じていることが指摘された。つまり、給水施設を設置する際には対象地域の固有要因が十分に考慮されておらず、ボランティアにおいて重要である「他者の視点に立つ」解決策が提示できていない可能性が示唆された。
  • Sherraden et al.の概念モデルに基づく研究レビューより
    白石 智也, 齊藤 一彦, 山平 芳美
    2021 年 21 巻 p. 61-73
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は、Sherraden et al.(2008)の先行研究を補完する形で、2008年以降に出版された国際ボランティア活動の成果が記されている論文を体系的に整理し、この分野における研究について、今後の課題と展望の導出を目的とした。分析の枠組みとして、Sherraden et al.(2008)が提唱する概念モデルを用いることとした。この概念モデルは、国際ボランティア活動の成果について、「派遣国」、「ボランティア自身」、「自国」という3つの観点から整理していくものである。計23編を分析対象とし、その成果について体系的に整理し、目的達成に向けて検討を行った。結果として、(1)「派遣国に関する成果」に係る研究については、今後も益々の事例研究の蓄積が必要であること、(2)「ボランティア自身に関する成果」に係る研究については、ボランティアの信念やアイデンティティなどの変容に焦点を当てた研究が行われるべきであること、(3)「自国に関する成果」に係る研究については、「ボランティア自身に関する成果」の観点との関係性を明確にするような調査研究が行われるべきであること、の3点が明らかになった。
  • 楯 晃次
    2021 年 21 巻 p. 75-85
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、「持続可能な社会の実現を目的に活動を行うNGO職員が持続可能ではない」という問題意識のもと、週5日以上勤務する有給専従職員に焦点をあて、最新の給与データである「NGOセンサス2019」を活用し、給与の高低要因を分析したものである。NGOの給与を含む待遇の実態調査は、国際協力NGOセンター(JANIC)により継続して行われ、2019年の有給専従職員の給与水準は、359.2万円であることが把握されている。一方、給与に関する研究の蓄積がなかった。NPOを対象とする給与研究は、1990年代後半より日本でも進められ、在籍年数や年齢といった個人属性や収入規模などの団体属性が給与の高低に関係することが明らかになっている。本稿では先行研究を踏まえつつ、寄付金や事業収入、助成金といった収入内訳や法人格別など、独自の視点を採り入れ分析を行った。  分析の結果、NGOの有給専従職員の給与高低も先行研究で示された個人属性、団体属性と関係することが明らかになった。特に収入規模が1億円を超えるまでは収入規模の向上とともに給与が上昇するが、それ以降は給与ではなく、職員数が増加する。その後5億円を超えると再度給与が増加するといった本稿独自の結果を示した
  • 官民学連携による支援活動「あいうえお240(にしお)」報告
    小島 祥美, 川上 貴美恵, 菊池 寛子, 鈴木 貴之
    2021 年 21 巻 p. 89-97
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     COVID-19感染拡大防止に伴う政府の要請によって、2020年3月から5月までの3カ月間、全国の多くの義務教育諸学校が一斉臨時休校になった。そのため、外国人児童生徒にかかわる関係者は、突如日本語学習ができなくなってしまった児童生徒の学びの遅れを心配した。また、多くの大学も休校になったことで現役大学生からは、将来の不安や希望を失う声が多数届いた。  そこで、平時に大学生がボランティア活動でかかわる愛知県西尾市において、教育委員会と民間と大学とが連携し、外国人児童生徒の希望者を対象にオンライン支援を試みた。「こんな時だからこそ、できること」を合言葉に、閉塞感を破って外国人児童生徒にも大学生にも光を灯すことをめざした。緊急突発的に走りながら動く形で開始した期間限定の活動であったが、予想以上の効果があった。そのため、連携した民間団体では、学校再開後もオンライン支援が継続されることになった。この活動も契機の一つとなり西尾市教育委員会は、オンラインアプリの公費負担使用に踏み切った。
  • 藤井 千江美
    2021 年 21 巻 p. 99-106
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     ユニセフの2017年世界子供白書によると、シエラレオネは平均寿命52歳、約8人に1人の子どもが5歳までに亡くなっており、保健指標は最下位レベルに留まっている。その背景には、貧困により多様な食物の摂取が困難なことから微量栄養素が欠乏し、感染症などへの抵抗力の低下が原因の一つとして考えられている。そこで本プロジェクトは、シエラレオネの農村部において、子どもたちの持続可能な栄養改善と食料の安全保障のしくみ作りを目的とし、2019年4月から1年間、5か所の小学校校庭に教師と児童が地域住民の協力を得ながら、野菜と一緒に葉に微量栄養素を多く含むモリンガの木を栽培し、そこで収穫できた野菜とモリンガの葉を学校給食に加え児童に提供する活動を行った。  現地のNGOと関係者が主役となり活動を実施した結果、活動の成果が可視化されるに伴い、地域住民の参加とモチベーションの向上のもとで活動が継続された。しかし一方で、計画・実施した後の活動の経過の追跡が弱いことも明らかになった。
  • 玉城 直美
    2021 年 21 巻 p. 109-111
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 森定 玲子
    2021 年 21 巻 p. 115-116
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 田中 志歩
    2021 年 21 巻 p. 117-118
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • ガラーウィンジ山本 香
    2021 年 21 巻 p. 119-121
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 柳 敏晴
    2021 年 21 巻 p. 123-124
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小川 未空
    2021 年 21 巻 p. 125-126
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
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