ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
国内での国際協力ボランティア活動への参加を通じたインシデンタルな学び
三宅 隆史
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2022 年 22 巻 p. 51-61

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抄録

 本稿の研究課題は、①国内での国際協力ボランティア活動の参加者にはどのような自己変容が生起しているのか、②国際協力ボランティア活動への参加を通じた自己変更が生起するメカニズムは何か、の2点を明らかにすることであった。分析概念として、社会的実践への参加を通じて偶発的・副次的に生起するとされる「インシデンタル学習」 を用いた。調査方法は、ある国際協力NGOが市民に参加をよびかけている2種の活動に継続的に参加しているボランティアへのインタビューとこれの活動の参与観察と担当スタッフへのインタビューであった。調査の結果、課題1については、国際協力ボランティア活動の参加者には、「視野の多様化と広がり」、「地球規模課題への関心」、「国際協力に対する自己効力感」という3つの自己変容が生起していることが明らかになった。そして関心や行動の持続性の源泉は自己効力感であることを指摘した。  課題2である国際協力ボランティア活動への参加を通じた自己変容のメカニズムは、①効果的で共感性の高い国際協力事業の実施、②国際協力ボランティア活動の立案、組織化、調整、③参加者の「居場所」としてのボランティア活動、④ボランティア活動の途上国における成果のフィードバック、という4つの要素で構成されていることが明らかになった。また国際ボランティア活動への参加が生起する自己変容は、組織変容に帰結する可能性を有していることを示した。

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2022 国際ボランティア学会
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