2007 年 7 巻 p. 25-46
本研究は、高等教育のボランティア学習の実践上の課題を明らかにし、ボランティア学のカリキュラム体系についての知見を得ることを目的としている。本稿では、大学・短大で開講されているボランティア関連科目の内容分析を通して、高等教育のボランティア学習の実態について考察した。 2003年に全国のすべての大学・短大に対してボランティア関連科目の開講状況を調査し、その結果を分析したところ、次の諸点が明らかになった。教育内容には社会福祉の分野が多くみられるものの多様なボランティアの分野を扱っていること、教育方法としては講義形式と非講義形式が多様に混在していること、科目のねらいはボランティアについての理解を深めるというものが多く、その成果はおおむね達成できていること、学生の自主性を生かすことが課題になっていること、等である。ボランティアそのものの多様性が改めて浮き彫りになったが、このことはボランティア学の学術的な確立とカリキュラムの体系化が課題になっているともいえる。