2015 年 69 巻 12 号 p. J338-J343
スーパーハイビジョンや立体映像など将来の放送コンテンツはデータ量が増大することが予想されるため,大量のデータからなる信号を放送するための伝送路として,筆者らは,21GHz帯を用いた放送衛星を研究開発している.21GHz帯を用いた放送衛星では,アレー状に並べた給電素子にそれぞれ増幅器を接続し,広帯域で高出力な中継器構成とすることにより,データ量が大きな放送信号を伝送することが可能である.さらに,限られた衛星電力を有効に利用して降雨減衰を補償するため,放射パターンを制御することができるアレー給電反射鏡アンテナを提案している.本報告では,21GHz帯放送衛星搭載アンテナ用として試作したアレー給電部を紹介し,励振位相を制御することで所望の放射パターンを形成した例を示す.また,給電部の制御誤差が放射パターンに与える影響を評価した.