映像情報メディア学会誌
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特集論文
放送サービスにおけるスクランブル方式の更新方法
小川 一人井上 友幸
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2015 年 69 巻 12 号 p. J344-J354

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抄録

放送サービスやマルチキャストコンテンツ配信サービスのように不特定多数のサービス利用者が存在し,しかもコンテンツが著作権保護やその他の理由で暗号化される場合がある.これらのサービスにおいても,暗号方式の危殆化などの理由により,暗号方式を更新する必要が生じる.ただし,暗号方式を予告なく突然更新することはできない.サービスを享受するための受信機によっては復号モジュールが容易に更新できないためである.したがって,新旧の暗号方式を併用し,古い復号モジュールを持つ受信機であっても,新しい復号モジュールを持つ受信機であってもコンテンツの復元が可能になる期間が,新規の暗号方式への移行の準備として必要になる.新規の暗号方式に完全移行するのは,準備期間の後になる.この準備期間では,新旧2つの暗号方式でそれぞれ暗号化コンテンツを作成して,2つの暗号化コンテンツを伝送する方法も考えられるが,従来の2倍の伝送レートが必要になるため非現実的である.本稿では新旧2つの暗号方式を利用する場合でも伝送レートの増加が極力少なくなる方法を提案する.提案方法では,コンテンツの一部だけを新旧の暗号方式で暗号化して伝送,その他の部分は平文で伝送する.この方法であっても実用的には問題のないレベルの安全性を有している.そして,本方法により,新旧どちらの復号モジュールでもコンテンツの復元が可能であるとともに,伝送レートをそれほど増加させることなく暗号化コンテンツの伝送が可能になる.

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© 2015 一般社団法人 映像情報メディア学会
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