近年,IPネットワークを活用した高画質ライブ配信の取組みが加速している.過去に行われた実験においては,皆既日食映像,デジタルシネマ映像,高校野球選手権映像など幅広い分野で,実フィールド検証が行われている.しかしながら,従来のフィールド検証は,パケットロス発生を抑止するため,高コストな帯域保証型のIPネットワークの構築が不可欠であり,一般に普及するベストエフォート型のIPネットワークを用いた実験はあまり行われていない.この問題を解決するため,我々は,佐賀バルーンフェスタのライブ伝送システムにおける実フィールド実験において,ベストエフォート型IPネットワークのパケットロスについて分析を行った.分析の結果,ベストエフォート型回線のパケットロスが帯域保証型同様,実用に耐える範囲であったこと,ベストエフォート型回線のパケットロス発生は,主に無記憶性にしたがう傾向が強いことを示した.