抄録
外観検査およびピッキングシステムなどの産業応用に向けた画像処理において,テンプレートマッチングは基本的な技術である.具体的な手法の1つとして,これまでに主成分分析および画像のエッジ情報を用いる固有値テンプレート法が提案されている.この手法は高精度かつロバストな画像照合が可能な手法であるが,処理コストの大きさが問題として存在する.そこで,本論文では,固有値テンプレート法に基づく階層マッチングを提案する.階層マッチングでは,低解像度の画像で候補点を検出し,高解像度の画像において検出対象物を絞込む.しかし,低解像度の画像での検出精度が検出成功率に影響する.提案手法では,候補点を複数検出することで対象物の見逃しを低減する.また,階層毎に使用する固有値テンプレート枚数を適応的に設定し,正確な検出を行う.評価実験より,従来法に比べ高速な画像照合が可能であることを示す.