飛ばし読みをしない通常読みについて,読み速度と眼球運動の関係を詳細に分析した.大学生200名の通常読みの速度は,約300~1200文字/分の範囲で単峰形に分布しており,平均値は653文字/分であった.このとき,最も速い速度と最も遅い速度の差は3倍以上であった.眼球運動分析より,読み速度の個人差は,停留時間の差ではなく,停留数の差によって生じていることがわかった.また,停留数の差は,主に順行サッカードの平均長の差によって生じていることがわかった.すなわち,通常読みにおいては,読み速度の個人差をもたらす主要因は順行サッカードの平均長であり,読み速度が速いほど順行サッカードが長く,読み速度が遅いほど順行サッカードが短いことがわかった.