2020 年 74 巻 1 号 p. 187-191
本稿では,高感度な超高精細カメラの実現を目指して,低電圧で電荷増倍が可能な結晶セレンを光電変換膜に適用した,膜積層型固体撮像デバイスの研究について紹介する.今回,ガラス基板上に作製した評価素子において,正孔ブロッキング層の導入による外部からの電荷注入の阻止,およびセレンの結晶性改善による結晶欠陥の抑制を実現し,光電変換膜で発生する暗電流を大幅に低減した.また,信号読み出し回路上での結晶セレン光電変換膜の作製においては,膜表面の平坦性の悪化が固定パターンノイズや暗電流の増加につながるため,キャップ層や二段階加熱法を適用した新たな結晶化法を開発した.これらの成膜条件や膜構成を適用することで,結晶セレンを用いた膜積層型 8K固体撮像デバイスにおいて,初めて高画質な映像の撮影に成功したため報告する.