2020 年 74 巻 1 号 p. 215-221
これまでにわれわれの研究グループは,ヒトの視覚におけるモーションシャープニング現象を模擬した画像強調手法を開発した.この手法では,モーションシャープニングを説明する視覚の時間応答特性における抑制性と興奮性の応答の時間差を導入し,対象動画像のコントラスト向上とS/N比改善の効果が得られる.一方で,フレーム間の移動量が大きい物体を強調したとき,物体境界において擬似的な輪郭線が現れるという欠点があった.本研究では,この擬似輪郭を低減し,なおかつ計算コストを効率化する手法を提案する.そして,シミュレーション動画像,内視鏡動画像などの動画像を対象にその効果を確認した.