医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
技術論文
迅速SARS-CoV-2増幅アッセイAbbott ID NOWの性能評価
岡田 知己土屋 浩二竹村 浩之脇田 満藍 智彦三澤 成毅田部 陽子三井田 孝
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2023 年 72 巻 2 号 p. 243-247

詳細
抄録

等温核酸増幅法であるNicking Enzyme Amplification Reaction(NEAR)法を測定原理とする迅速SARS-CoV-2検査「ID NOW新型コロナウイルス2019」(ID NOW)の性能と臨床的有用性を検証した。2021年2月1日~8月25日の間に順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京)を受診した救急外来患者および緊急手術患者673例を対象とした。同一症例から同日に採取した鼻咽頭ぬぐい液検体を用いてID NOWとreal time reverse transcription-PCR(PCR)法による核酸増幅検査を行い,PCR法を対照法として評価した。PCR法では陽性36,陰性637,ID NOWでは陽性35,陰性638であった。PCR法による陽性36例中,ID NOW陽性は31例であり,PCR法による陰性637例中,ID NOW陰性は633例で,完全一致率は98.7%であった。PCR法を対照法としたID NOWの陽性一致率は86.1%,特異度は99.4%であった。偽陽性を4例認められたが原因は特定できなかった。陽性結果に対する繰り返し検査,整備された検査環境,および臨床検査部門によって許可されたものによる検査によって偽陽性を最小化することができる。ID NOWは,これらの対策を遵守して検査することでポイント・オブ・ケア・テストとして最適な性能を提供できる。

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top