2020 年 74 巻 6 号 p. 1014-1020
本稿では車両走行時の車両揺れによって生じるヘッドアップディスプレイの表示位置ズレの補正技術を提案する.本補正技術は,車両揺れによる車体傾斜角度の変化に合わせて,ヘッドアップディスプレイの液晶パネル上に表示するコンピュータグラフィックス画像の表示位置を調整する.補正に使用する車体傾斜角度はコンピュータグラフィック画像の表示遅延に対応するため,車載センサの計測値よりも数10ミリ秒後の車体傾斜角度を予測する.本補正技術の評価として,平坦な道路を時速40 km/hで走行した際に計測した車体傾斜角度を用いて,50ミリ秒後の車体傾斜角度の予測性能を評価した.また車両助手席の頭部位置に設置した評価用カメラで走行風景とヘッドアップディスプレイ上のオーグメンテッドリアリティ表示を撮影し,その撮影映像の表示位置ズレ状態を評価することで本補正技術により車両揺れに伴う表示位置ズレの影響が軽減することを確認した.