超高精細動画像を高圧縮符号化するために,動画像の画面内や画面間のぼやけ度合を補償する予測符号化手法を提案する.同一オブジェクトのぼやけ度合が画面内や画面間で異なる箇所を持つ動画像を符号化する場合は,当該箇所における画面内予測や画面間予測の確度が低下するため,符号化効率が低下しやすい.このような場合の符号化効率を改善するために,提案手法の画面内予測や画面間予測では,従来の符号化単位の局部復号画像を用いた予測に加えて,その鮮鋭化画像とぼやけ画像を用いた予測を行う.そしてこれらの3種類の予測結果から,Rate-Distortion最適化処理を利用して最適な結果を選択する.実験では,同一オブジェクトのぼやけ度合が画面内や画面間で異なる超高精細動画像の符号化を行い,提案手法は従来手法よりも符号化効率の改善率を示す指標であるBjøntegaard Delta Bitrateが向上することを示す.考察では提案手法における鮮鋭化画像とぼやけ画像を用いた予測の選択率などを解析して,結果の妥当性を検証する.