効率的な学習データの収集は,機械学習による様々なアプリケーションの実現において重要である.本研究では,物体撮影において人が感じる画像表現の良さを学習し,それに基づいて計算機が自動的に最適な撮影位置を推定する技術を開発した.その際,適切な撮影位置の推定に必要な大量の主観評価データを,オンライン実験を活用することで効率的に収集した.ここでは,クラウドベースの実験システムを構築し,オンラインでデータ収集を行うことで,広範な参加者からのデータ取得を可能とした.また,一度に複数の画像を比較評価する手法を導入し,質の高い評価データを効率的に収集可能とした.収集した主観評価データを学習データとして用い,深層学習によって人のもつ画像表現の評価モデルを学習した.さらに,この学習済みモデルに,新規な画像表現を評価させたところ,十分な精度で人の評価を予測することができ,最適な撮影位置を推定できることが確かめられた.本結果は,計算機で人が感じる画像表現の良さを推定できること,オンライン実験で質の高い評価データを収集できたことを示唆する.本論文では,大量の主観評価データを効率的に収集した手法について報告する.