我々はこれまで高効率の電子放出が期待されるダイヤモンドを用いた電子放出素子の開発を行ってきた。ダイヤモンドは通常キャリアが少ないので、電極から電子を供給する部分が重要な開発要素の一つである。その工夫として、ダイヤモンドの内部に金属元素のイオン注入によって導電層を形成し、電極とすることを試みている。AlやCuの金属を高速でイオン注入することによって、表面にダイヤモンドを残して、内部に非常に低抵抗の層を形成できることがわかった。さらに、このイオン注入層が付いたダイヤモンドの尖鋭エミッタの作製にも成功した。この尖鋭エミッタの電子放出特性の閾値電界は2.5V/μmと非常に良好であった。