2025 年 79 巻 6 号 p. 651-659
ソフトウェア開発においては,開発者がソフトウェアをオープン化し,漸進的にサービスを拡充することで対価を得る「開発者中心アプローチ」が主要な選択肢の一つとなっている.これはビジネス的な意思決定よりも,開発者によるプロトタイプ開発が先行する点に特徴がある.一方でハードウェア開発に伴うマイコンボード等のビジネスにおいては,製造に関する初期コストなどの制約から同様のアプローチは困難であったが,近年,開発ボード市場においてこの「開発者中心アプローチ」が注目されている.本稿では,開発者の要求に応え,多品種・小ロットでの販売を特徴とするこのアプローチの有効性を定量的に評価する.そのために,このアプローチを積極的に実践するM5Stackと,オープンではあるが小ロット・多品種展開を重視しないArduinoの日本国内売上データを比較分析する.