抄録
本研究では、SブロックとRブロックがC軸方向に積み重なった構造を持つ六方晶バリウムフェライト薄膜を原子層積層法なる手法を用いてS層厚とR層厚を変化させて(S層厚 : 2.3〜9.3Å、R層厚 : 3.5〜13.9Å)積層させた場合に、どのような膜が形成されるかを調べた。その結果、(1)いずれの層厚においてもC軸配向性を持つ膜が得られること(W相の生成に関しては不明)、(2)膜中のBa含有量が減少すると、C軸方向の周期性は劣化するものの、結晶粒の成長は著しく促進され、大きな結晶粒からなる膜が成長すること、(3)最も良好なBaM構造の膜が得られる層厚(S=4.6Å、R=6.9Å)において飽和磁化、垂直方向保磁力が最大となり、BaM薄膜の形成と対応していること、などが明らかになった。