抄録
表面熱酸化シリコン基板上に極薄Co_<76>Cr_<24>垂直磁化膜を対向ターゲット式スパッタ法により堆積し、その磁気特性を異常Hall効果を用いて測定した。膜厚が薄い試料ほどホール電圧は大きく検出でき、10nmオーダーでも十分大きな信号出力が得られた。Co-Cr結晶子のc軸配向性の良好な膜の方が、磁界の角度方向によらず、わずかな印加磁界で垂直磁化が誘起されることがわかった。しかし、8nmの膜厚ではHall電圧の飽和は10kOe以上の大きな印加磁界が必要であった。異常Hall効果による極薄膜の磁気測定は、高密度垂直磁気記録媒体における記録磁界に対する磁化機構を解明するのに有用である。