抄録
低温poly-SiTFTは数々の利点がある一方で、単結晶Siで形成されたトランジスタと比較して移動度が低く、閾値電力が大きいといった特質をもつ。よって、低温poly-SiTFT-LCDデータドライバICは、従来回路技術をそのまま適用すると、駆動周波数能力が低く、消費電力が大きいものになってしまう。駆動回路一体型LCDパネルをより高性能にするためには、駆動ICの高駆動周波数化、低電力化が非常に重要である。今回、クロック周波数の2倍のデータ転送速度をもち、必要な期間のみクロックを発生させシフトレジスタを動作させたブロック制御サンプリング信号発生回路を開発した。そして、ガラス基板上に、その回路を内部にもつ低温poly-SiTFT-LCDデータライン駆動ICを作製し、その動作を確認した。さらに、CLKが発生する期間の動作段数と消費電力の関係を調べ、そのブロック分割数を最適化した。以上の結果、駆動周波数は従来のサンプリング信号発生回路の1.7倍、サンプリング信号発生回路部分の消費電力は従来比の16%に低下させることができた。