抄録
低温poly-Si TFTを用いた大型LCDパネル用データドライバを開発している。低温poly-Siプロセスは駆動回路とLCDパネルを一体化できるので、LCDパネルモジュールの薄型化、高信頼性化、低コスト化が実現できる。一方低温poly-Si TFTは単結晶Si TFTに比べて素子性能のバラツキが大きいという問題がある。このため低温poly-Si TFTを用いてオペアンプを製作すると、大きなオフセット電圧が生じ、LCDパネルを表示させた時縦筋状の輝度ムラが生じてしまう。本報告では、従来のオフセットキャンセル技術を低温poly-Si TFTに適用した際生じる、オフセット検知時の発振状態を防ぐ回路方式と、入力回路からの電荷移行を補償する回路方式を提案した。またこれらの回路用に新たな駆動方法を開発し、DCゲインバラツキによるオフセット電圧も補償できるようにした。これらの回路を理論予測に基づき設計し、低温poly-SiTFTで製作して動作実証を行った。これにより理論通りのオフセットキャンセル動作を実証した。