抄録
大きな口径を持つ望遠鏡などのイメージングシステムに生じる動的収差を補償する有力な方法としてダイナミックホログラムを用いる手法の研究を行っている。カーボンフロリナート、FC-72をブリルアン非線形媒質としてダイナミックホログラムを生成し回折特性を調べる実験を行った。実験では50%以上のホログラムの回折効率が得られ、従来に比べて10倍以上の向上が見られた。また、波面歪補償効果では回折限界の20倍まで収差を与えた擾乱波面を回折限界近くまで補償することが確認され技術の有望性を示した。望遠鏡にブリルアン非線形性による波面補償効果と非往復型光学素子を組みあわせた、実用的な波面歪除去機能を持つ大口径望遠鏡の提案を行う。