抄録
仮想環境等に利用される没入型サラウンド・ディスプレイの与える「臨場感」、「没入感」と言った心理的な印象の定量的な評価を行うために、画像の動きに対応する身体の微細な運動を重心動揺計で測定し、これを「臨場感」、「没入感」の指標とすることを検討する。今回は、筆者の所属機関の仮想環境システム"TEELeX"の大型多面ディスプレイを使用して、ディスプレイの面数と重心動揺の関係を調べた。測定データは、制御システムの同定に用いられるARXモデルにより解析された。その結果、3面以上の多面ディスプレイのほうが、1面ディスプレイより、観察者の重心動揺に与えられる影響が大きいことが示された。また、42インチディスプレイ(1面、および3面)により刺激映像を提示した場合の、観察者の重心動揺をARXモデルを用いて解析し、3面ディスプレイがより観察者の重心動揺に影響を与えることを示した。これらの結果は、ARXモデルによる解析が広く適用可能であることを示している。