抄録
この論文では和風住宅内伝播問題に対して、レイ・トレース法による解析を行い、実験値との比較検討を行っている。木造を主材料とする和風住宅においては、コンクリートを主材料とするオフィスビルと比較して、透過波の影響が無視できない。しかし透過波レイの探索は、イメージ法が適用できる反射波に比べて複雑となる。そこで本稿では、透過波レイの探索では壁面の厚みを無視し、電界計算ではその効果を組み入れることにする。ただし本稿の理論計算では、回折界の影響は少ないと仮定して無視している。伝播特性の統計量について実験値との比較を行ったが、比較的良好な結果を得た。