抄録
DCTやウェーブレット変換などのロッシー変換においては,変換係数が連続的に分布する実数値なので,量子化ステップサイズを連続的に変化させた場合,量子化された変換係数のエントロピーもまた連続的に変化する.一方,整数ロスレスDCTや整数ロスレスウェープレット変換においては,変換係数が不連続的に分布する整数値なので,量子化ステップサイズを連続的に変化させた場合,量子化された変換係数のエントロピーは連続的に変化しない.このため,整数ロスレス変換において高いロッシー圧縮効率を得るためには,選択してよい量子化ステップサイズと選択してはいけない量子化ステップサイズが存在する.本研究では,ロッシー変換係数に対する最適量子化ステップサイズを整数ロスレスDCTと非直交ウェープレット変換のロスレス版に適用した場合の問題点を示し,整数ロスレス変換係数に対する最適量子化ステップサイズを提案する.