抄録
近年、移動体通信システムにおいて、干渉抑圧技術としてアダプティブアレーアンテナの研究が盛んに行われている。マルチパス環境に於けるLMSアダプティブアレーアンテナは素子間隔を広げることで各素子の受信信号の相関が低くなり、干渉除去と共にダイバーシチ利得が得られることが知られている[1]。しかし、素子間隔の広いアダプティブアレーアンテナはフェージングの影響を受けやすく、フェージングの時間変動が激しい移動体通信環境下では所望波の追従が困難となる。そこで本研究ではフェージングの時間変動に追従した上でダイバーシチ利得も得ることができる階層型アダプティブアレーアンテナを提案する。