抄録
正答率や閾値を指標とする従来の研究手法では,例えば,顔画像が提示され個人弁別課題が与え,目と口のどちらを手がかりとして重みづけているかというように非常に大まかな顔情報処理ストラテジーを示すことしかできなかった.これに対して,Classification image法を使えば,非常に詳細に分析することが可能となる.すなわち,顔のどの部分にどれくらい強く処理ウェイトをおくか,を画像ピクセル単位で明らかにすることができる.本研究では,このClassification image法の利点を用いて,顔情報処理の個人差を調べた.その結果,定型発達者と自閉症者との間の差異を示しただけでなく,定型発達者の中であっても処理ストラテジーには大きな違いがあること(例えば,ある人は両目の情報,別の人は左目の一部だけを用いて人物弁別を行っていること)を明らかにした.