単一の撮像素子上にレンズアレイを配置した複眼カメラは,複数の撮像素子を用いる方式や,レンズアレイ前方に共通レンズを配置する方法と比べ,撮像装置の薄型化・小型化の点で優れている.しかし,基線長が短いため,距離推定精度の向上と,複眼像からの単一高精細画像の再構成が課題であった.我々は,不規則レンズ配置により,遠方物体に対して仮想的な視差を与えるとともに,距離推定過程に超解像処理を導入することで,測距精度,再構成画像の解像度の改善に成功した.実験により,空間周波数0.95/画素のパワースペクトルにおいて,6.7dBの向上を確認した.また,3.2mの距離に配置した平面物体に対する推定距離の平均誤差は0.2mとなり,同一基線長をもつステレオカメラでは困難な精度を実現した.