抄録
スルーイングを持たないAB級アンプを用いた15bパイプラインADCと、その不完全応答誤差の入力信号依存性が線形になることを利用したディジタル補正による性能改善効果について、報告する。パイプラインADCの中で用いられるMDACの不完全応答誤差の入力信号依存の非線形性は、スルーイングとgm駆動の組み合わせによって生じる。もち内部アンプがスルーイング特性を持たなければ、入力信号に対して線形になる。この特性を利用し、またノンスルーイングアンプが電力効率に優れることも合わせて、極めて電力効率のよいパイプラインADCが実現できる。0.25um CMOSにより試作し、15b 30MS/sにおいて75dBのSNDRと123mWの低消費電力を実現した。熱雑音を考慮したFigure of meritとして、0.19fJ/conv.-step^2を得た。