抄録
本研究では,従来のような点滅視覚刺激のない状態での視空間的注意の課題中のα波帯域の変化について報告する.視空間的注意は,末梢神経に依存しない脳-コンピュータインタフェースの新しいチャネルとして期待できるが,この手法についてはこれまであまり研究がなされていない.従来の点滅視覚刺激を用いた報告では,末梢神経の非依存度を低減し,実用上の問題がある.それゆえ,点滅視覚刺激のない状態で視覚的注意が検出可能かどうかについて調べた.ここでは,CSPアルゴリズムを視空間的注意検出の問題に初めて適用した.左周辺視野,右周辺視野,視野中心への注意時という3つの脳状態について,その注意の所在の推定精度を評価した.30個の脳波電極を5人の頭部の視覚野に装着し,実験を行った.左右周辺視野注意時の判別能は,75.39%(最高86.13%)であった.この結果から,CSPアルゴリズムが有効であり,点滅視覚刺激のない視空間的注意時のα波帯域の変化が,運動想起時の事象関連同期/事象関連脱同期と同様に,末梢神経非依存の脳-コンピュータインタフェースの新しいチャネルとして利用可能であることを指摘した.