抄録
Plasma enhanced CVD法で成長させたカーボンナノチューブ(CNT)には触媒の磁性金属微粒子が内包される.本研究では,FeもしくはFeCo薄膜を触媒としてCNT薄膜を作製し,その構造と磁気特性を評価した.Fe触媒を用いて成長したCNTにはFeの単結晶微粒子が内包されていた.また,FeCNT薄膜はCNTに内包された微粒子の形状を反映した磁気異方性を示した.組成を変化させたFeCo合金薄膜を触媒としてCNT薄膜を作製したところ,Co組成の増加とともにCNTの成長速度が低下した.FeCo合金薄膜の膜厚の増加とともに,CNT薄膜の磁化が大きくなった.これは触媒薄膜の表面のみがCNTの成長に寄与し,基板表面に残留する薄膜の膜厚が増加するためであると考えられる.