抄録
本稿では個人識別に向けた顔の表情変化の動的解析手法を提案する.従来,顔画像を用いた個人識別技術では,表情変化が識別率を落とす要因となっていた.しかし,本稿では表情変化にこそ,個人の特徴が含まれると考える.提案手法では,連続する画像シーケンスの初期フレームにおいて特徴点抽出を行った後,次フレーム以降特徴点追跡を行い,表情変化区間を抽出することで,表情変化ベクトルを生成する.ここで,特徴点抽出にはActive Appearance Modelを用い,特徴点追跡にはLucas-Kanade法に基づいた手法を用いる.識別においては,入力ベクトルを学習ベクトルとDPマッチングにより比較し,本人かどうかを閾値判定する.MMI Facial Expression Databaseに含まれる笑顔の画像シーケンスを用いた実験により,本手法の有効性を確かめる.