日本透析医学会雑誌
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原著
遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)使用レジメン変更前後におけるヘモグロビン(Hb)変動の比較検討
今田 直樹奥原 紀子大西 彰平山 きふ関 英夫小山 正樹北村 亮治青木 正
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2011 年 44 巻 2 号 p. 145-151

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抄録

近年赤血球造血刺激因子(erythropoiesis stimulating agent:ESA)製剤投与中の血液透析患者におけるhemoglobin cycling(Hb cycling)という概念が注目されている.これはESA投与中の血液透析患者にみられる非生理的なヘモグロビン(Hb)値の周期的な変動であり,Hb値の変動が大きいほど入院,合併症,死亡のリスクが高く,血液透析患者の予後を悪化させることが報告されている.Hb変動は患者の予後に関連する因子の一つであり,Hb変動を抑制することは腎性貧血治療を行う上で極めて重要な課題である.当院での安定した血液透析患者230例(男性140例,女性90例)を対象に従来のrHuEPO使用レジメンによるHb変動の実態を解析したところ,平均Hb値が低く,リスクの高い変動パターンの割合が高いことが判明した(9.68±0.97 g/dL,Low:33.5%,LAL:51.7%).そこでrHuEPO使用レジメンを変更し,1年間の観察を行ったところ,平均Hb値がガイドラインの目標値内に上昇し,リスクの高いHb変動パターンの減少がみられた(10.35±1.05 g/dL,Low:11.8%,LAL:56.5%).当院の変更後rHuEPO使用レジメンは臨床現場で活用可能なHb変動の改善が得られる具体的投与方法の一つであると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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