抄録
本研究では,3次元物体の視覚印象に影響するパラメータを,既存形状に対する印象評定結果に基づく計算によって決定する手法の可能性を探る基礎検討を行った.3次元物体の一例として自動車のボディを取り上げ,異なる車種のプラモデルの形状をレンジファインダで計測し,各形状を表現した多次元ベクトルに主成分分析を適用することで,形状の多様性を少数のパラメータで表現できる3次元モーフィングモデルを求めた.形状の事例が与える視覚印象を一対比較法で定量化した結果から,視覚印象を操作するパラメータの変位を求める予備実験を行い,心理実験によってその効果を検出することで,3次元物体デザインでの印象操作に対する本アプローチの有効性を確認することができた.また,既存のモーフィングモデルが前提とする多次元ベクトル表現に適合しない特異形状の物体を取り込むことで,モーフィングモデルが表現しうる物体の多様性の幅を拡大する手法を提案した.