抄録
脳溝は,機能局在の把握や手術経路を策定する上で重要な指標となる.我々はこれまでに,脳腫瘍患者MR画像から抽出した脳溝の中から,感覚野と運動野の境界にある中心溝の位置判定手法を提案し,その有効性を確認した.先行研究の脳溝抽出手法では,脳溝が画像内で最も低い輝度値を持つことから,3次元脳領域を脳表に沿って平面に展開したCurved Planer Reformation(CPR)画像内の極小値を計算することにより脳溝を抽出する.この手法では,脳溝よりも輝度値の高い血管領域が脳溝内に存在する場合は,極小値を算出できないため,脳溝の一部が欠落するという問題があった.そこで本研究では,脳溝の間にある血管領域の輝度特性に注目した脳溝抽出手法について検討する.