抄録
本文では,位相回復手法の一つであるERアルゴリズムを用いた静止画像の高解像度化手法を提案する.提案手法では,まず,低解像度画像における自己相関関数に対して相関値の補間処理を施すことで,高解像度画像における自己相関関数を推定する.このとき,Wiener-Khintchineの定理により,推定された高解像度画像の自己相関関数をフーリエ変換することで,高解像度画像におけるフーリエ振幅を得ることが可能となるため,これをERアルゴリズムにおけるフーリエ領域の拘束条件として導入する.さらに,低解像度画像から得られる周波数成分を高解像度画像における既知の低周波成分とし,これを画像領域における拘束条件として導入する.以上のようにして導出されるERアルゴリズムを用いてフーリエ位相の回復を行うことで,失われた高周波成分が自己相関関数の補間により生成され,低解像度画像のみから高解像度画像を得ることが可能となる.