2024 年 2024 巻 75 号 p. 30-37
山形県内陸地域の一般圃場および予察圃場において,葉面濡れセンサーを用いて誘電率0.300 v以上を濡れとして計測した濡れ時間から感染好適条件を推定し,実際の葉いもちの発病状況との適合性を検討した.従来のアメダスデータに基づくBLASTAMに比べ,葉面濡れセンサーを用いた推定では感染の見逃しが生じた地点の割合(見逃し率)が低く,推定結果が発病状況と合致した地点の割合(適合率)が高かった.また,最寄りのアメダス観測地点が同一の地域内でも,葉面濡れセンサーでは地点によって感染好適条件の出現頻度が異なり,初発や初期の病勢進展に関与する感染を推定できた地点が多かった.これらのことから,葉面濡れセンサーの利用により,従来のBLASTAMに比べてより高い精度で葉いもちの発生を予測することが可能であると考えられた.ただし,従来のBLASTAMよりも低い頻度ながら初発の感染の見逃しが生じた地点が複数見られた.