本研究は,脳疾患の早期発見に繋げるために,日頃から脳の状態を把握できる家庭用MRIの開発を目的とする.家庭でMRIを安全に使用するためには,超低磁場での運用が必須となるため,MRIの原理を考慮して,実画像からシミュレーションにて作成した超低磁場MR画像を用いた疾患検出を検討する.これまでは,超低磁場強度画像のみによる検出手法を提案してきたが,複雑な形状変化をもつ脳溝周辺では病変の判断が困難であった.そこで,今回は,MRI撮影時に超低磁場強度画像と同時に得られる超低磁場位相画像に注目する.提案手法では,超低磁場位相画像の周波数成分を複数の帯域に分割し,各々の帯域を画像化することで,病変部の写る帯域を特定し,その帯域位相画像を用いた疾患検出を行う.最後に,超低磁場位相画像と超低磁場強度画像の両疾患検出結果を合わせることで,病変と組織を区別する.